2008/12

参勤交代と手仕事

「参勤交代」は養老孟司氏が唱えるスローガンですが、私達を取り巻いている所謂閉塞感? だとしますと、これ位思い切った政策を政治が実行に移さないと、日本に明るい未来は来ない?とさえ思ったりもします。夏以降、多くの設計事務所では、計画中断に追い込まれるプロジェクトが目白押し、それでも多少のことに動じない業界人、悲鳴さえ声に成らず?音なしの感さえあります。私が不思議に思うのは、都心では多くの建物が取り壊され、新築が繰返えされているにも関わらず、都市景観として眺めれると、まだまだ対応すべき仕事が多く残っていると感ずる点です。建築の意匠とか、景観等のソフト面には、未開拓な鉱脈が眠っています。ただそれを声高にアナウンスできる人を私は知りません。建築家は先導者として適任だと思うのです。周囲を見渡しますと、湯浅誠氏達の動きなどに世相の変化を感じます。地道ですが粘り強い活動を継続させて、共感の輪が拡がりを見せている様子です。建築家も間口を更に広くしたいものです。話を振り出しに戻しますが、参勤交代は、新たな秩序形成を政治が仕掛けました。いま振り返ると都市景観に大きな影響を与えています。例えば、西欧都市に散見する豊穣な建築空間、富が消費される過程において、建築と云う「ろ過装置」を介在させれば、財は一瞬で失せることなく土地に沈殿、皆が長期に渉って豊かさの恩恵に授かります。身の周りにある都市景観のぎこちなさは、そうした「ろ過装置」としての建築に思い至らず、利益最優先、効率主体で建造物が生産された結果なのでしょうか?手仕事は何処に消えた?自己流にラスキンのメタファーと考えての記述ですが、来年も何がしかの「手仕事」を楽しみたいと願うばかりです。

写真解説

仕事場近くの川崎市民ミュージアムでは浮世絵、広重の「名所江戸百景の世界」を開催。120点近くに及ぶ江戸風景画を鑑賞しますと、私達は江戸期よりも、貧しい風景に暮らして居る?と錯覚します。<絵は二代目広重>