2007/07

研究開発の盛衰

6月下旬、ウィークディにある見学会に参加しました。私が勤めていた設計事務所、その所長である高橋さんが手掛けた「頂上免震」の建物です。「頂上免震」については初耳の方が多いと思いますので、多少解説しますと、従来からある建物の下部に免震ゴム等のゲタを履かせて地震時の揺れを吸収するタイプと異なり、建物の中心を貫くコア頂上に免震ゴム等を入れた吊受け部を設けて、建物全体をそこから吊って地震時の揺れを押える方式です。吊る事に拠り、特に建造物全体の軽量化が実現できる点が優れていると思いました。研究開発の工程に照らせば、理論を設計作業で練り上げて実際の試作建造物の完成に漕ぎ着け、お披露目がされた訳です。このアイデアを周りに話し始めた頃、私はまだ事務所に在籍していましたから、つまり8年程前から検討を始めて、今やっと原寸試作品を得た訳で、新しい技術を開発する工程、道のりは「半端」ではありません。高橋所長はいみじくも「普通、開発に10年掛かると言われますが、これは8年でここまで出来たので、早い方だと思います。」と発言されました。本当にそうです、私自身の開発を振り返れば、まだ7年程が経過しただけなのです。建築界を見渡すと小さな設計事務所が開発に取組むこと自体が貴重ですし、逆に先進的な技術を自分達の手から生み出そうとする建築家もあまり見当たりません。コルビュゼを思い出すまでもなく、先達は技術面においても社会に影響を及ぼす提案を次々と発表していたのです。・・・大先輩に負けてはいられないと思う此の頃です。

写真説明

建物の詳細はGAJAPAN88号等を参考にしてください。あいにく天候が悪く雨がパラ付く見学会でしたが、試作建物の屋上に出て免震の心臓部を間じかに見ることができました。