2007/06

回想のヨーダ

新藤兼人映画監督の回想録が日経新聞に連載されました。脚本家から出発した方で、戦前溝口監督下で初めて書いた脚本のダメ出し、その経緯を生き生きと綴って居られます。当時、京都太秦の撮影現場は、一種独特であったろうと部外者は勝手な想像をしながら、連載が楽しみでした。何度目かの記事で、その頃の溝口監督を支える脚本家に、依田義賢さんの名前があるのに気付きました。そうか、もう依田先生は、溝口監督の脚本を手掛けていたのかと、感慨に浸った訳です。私が関西のある芸術大学の建築現場を監理していた時期に、依田先生にお逢いした訳ですが、既に初老のどっしりとした学科長であり、所属学科の建物を改修する為に、宮川一夫氏などと一緒に打合せに参加され、私のつたない説明に応対してくださった訳です。映画好きとしては、あの有名なカメラマンや脚本家と直接話しが出来る事実に、言い知れぬ歓びを感じていたものです。それから数年後、出張の帰り路、新幹線で週刊誌を読んでいると、あるグラビア記事に目が止まりました。映画スターウォーズに登場する仙人ヨーダの写真に添えられた記事、・・・キャラクターのルーツはルーカス監督が尊敬して止まない脚本家、依田義賢さんの仕草を写しているとの噂がある、そんな内容でした。言葉を交わした頃の雰囲気を思い出して、直ちに納得したものです。映画製作は一人の監督に率いられた、様々な職種が協力して仕事を進めます。建築と良く似ていると思うのですが、あの溝口監督のエピソードや新藤監督の独立プロと比較すると、建築家はまだまだ迫力不足だなあと思います。監督を背後で支えた依田義賢さんが放つ底知れぬ懐の深さ、私の記憶中から消えることは無いでしょう。

不思議なアメリカ映画

折悪しく手許に適当な写真が無かった為に、近所の図書館に出かけて映画関係の本を探しました。伝統的なウェスタンスタイルからすると、不思議なアメリカ映画で、そこには東洋的な輪廻の思想さえ垣間見るのです。