2007/05

事件の真相

最近立て続けて、むごい銃の発砲事件が起きたことに因るのですが、個人の一途な思い込みが思わぬ大事件を引き起こす事実に、すこし当惑を覚えています。それは、この事件と前後して新聞で読んだ、富岡多恵子氏の小説「湖の南」についての書評とも関係します。小説は明治期に起きた大津事件を扱って、事件を起こした人物の日常を資料から掘り起こしつつ、当時の時代背景に目をくばり、何故地方の一巡査がこうした事件を引き起こしたかを丁寧に探る記述が印象的で、著作者自身の思いが伝わってきます。新聞の書評を読んだ祭に、後のロシア皇帝ニコライを襲った人物は巡査であったと知って、自分の記憶のたよりなさを自覚しつつ、一週間ほど経ってから、そういえば教科書か何かで、錦絵か大津絵?に描かれた襲撃の場面があったと思い出して、ついに本を購入して読み始めた訳です。明治期前半、崩壊した地方の武士階級出身の運の悪い主人公が、困難で慎ましい生活に一生を追われた事実が示されると、なにか切実さを感じてしまいます。歴史を概観する立場に立てば、こうしだ細部は無視されるでしょうが、この本を読むと何故彼が事件を起こしたか、すこし納得した気になります。些細な記憶の積み重ねこそが個人にとっての価値であり、マスメデアで報じられる各種事件の陰には、他人が踏み込めない孤立した私的領域が在ると、改めて感じた次第です。

気になる建物

私のサイクリングコース中に、気になる建物があり先日の夕方、自転車を止めて展示物を観てまわりました。明治前半がどんな時代であったか、没落する武士とは別に、多摩の豪農家達を中心とした民権運動が顕在化して行く頃でもありました。